お~いお茶裏ばなし
お茶と炎とフライパン?! 腕を振ること数千回? 1秒1℃の戦い【#開発裏ばなし】
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お茶と炎とフライパン?! 腕を振ること数千回? 1秒1℃の戦い【#開発裏ばなし】

お~いお茶裏ばなし

カンカンカン!ザッザッザッ!開発現場に響き渡るフライパンを振る音。

どのような商品も、世の中に出る その舞台裏には、多くの人々の、それぞれの立場から戦わせる意見、試行錯誤、まさに「産みの苦しみ」を経て誕生します。「たかがお茶、されどお茶」緑茶飲料の可能性を信じ、困難に立ち向かった人たち。

今日は、お茶の味を決める重要な工程。1秒1℃にこだわり、すべてのお茶の葉の種類や大きさにぴったりの「火入れ」を追求し常に挑戦し続ける、開発チームの七転八倒のお話。

お茶のおいしさの裏にある 炎との戦い?!

火入れ①

ここは、静岡県にある伊藤園中央研究所。今日も、朝からフライパンを振る音が響く。
着色や着香、味付けなど一切しない、「自然のままのおいしさ」を追求し続けるペットボトルの「お~いお茶」。原料になるお茶の葉に、お湯を注いでハイッ完成!という訳にはいきません。
実は、さまざまな産地や品種、何種類ものお茶の葉を選び、それぞれの個性を最大限に引き出してブレンドすることで、絶妙なハーモニーを奏でているんです。まさに、オーケストラ効果。そして、その絶妙なハーモニーおいしさの鍵を握るのが「火入れ」。「火入れ」とは、お茶の葉を火で軽くあぶることで、摘みたての鮮度香とは全くかけ離れた不快な香味「青臭み」を追い出し、お茶本来の良い香りを最大限引き出して、おいしさを高める重要なひと手間です。

▼過去記事「青臭み」解決の七転八倒はコチラ

https://note-itoen.itoen.jp/n/n9575a83d8817

その戦いは まるで千本ノック?!その手、その舌 すべての感覚を研ぎ澄ませ!

火入れ試作室では、1年を通して、幾度も幾度もフライパンを振る音が響いています。

火入れ②

茶温を手で確かめながら、低温度でじっくり茶葉を温める。すると、お茶が汗をかいているように水分が出てきているのが、僅かに感じ取れる瞬間がやってくる。その瞬間、微かに香りの変化が。

ここだ!!その瞬間を見極め、次はフライパンを熱々にする。ここからが、1秒1℃単位での闘い。焦げてしまわないように、手を止めている暇はありません

火入れ③

フライパンを振ること、わずか数秒・・・。
その瞬間はやって来る
お茶の葉が、僅かながら膨らんだように見え、フライパンが一瞬ふわっと軽くなる。間髪入れずに、フライパンからお茶の葉を盆に移す。この瞬間を逃すとたちまち、火が入りすぎてしまうんです。
その瞬間を見極めるのは、至難の業


お茶のふんわり香る甘い香りに仕上げたお茶の葉にお湯をさして、さぁ旨みと香りの確認!

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▲ズラ~っと並んだ、火入れ後のお茶の葉と抽出したお茶

「うーん…香りは良いけど、舌に感じるイガイガ。まだ僅かに嫌なところが残っているな」

「そうですね…きれいに火が入ってないですね。もう一度やってみます!」

茶葉の芯に残る水分がきれいに抜け切れていないまま、茶葉の表面をいくら香り立ち良くあぶっても、お湯をさせば、あの青臭みが出てくる。さらに、取りきれたと思っても、ペットボトルにつめて数カ月で、再び出てくるクセモノ。

幾度となく、フライパンを振り続ける日々。まるで千本ノックのようだ。新茶シーズンになると、さらにその回数は増し、丸一日フライパンを振るった腕は、パンパンに・・・。

「よし!この温度、タイミング、時間で、火入れにしよう!」と決定。しかし、決まったのは、まだ1種類・・・。
「お~いお茶」は、さまざまな産地や品種、何種類ものお茶の葉、そして大きさ重さを選別し、それぞれに最適なタイミングの温度と時間を見極めて「火入れ」をしています。気の遠くなるような作業です。しかし、丁寧にそれぞれの原料のお茶の葉の良さを最大限に引き出していくことで、最高のハーモニーを奏でると信じています。

ちなみに、缶で初めて緑茶飲料を商品化する時の難問は「酸素による緑茶の色の変化(褐変)」「香りの変質(焼きイモ臭)」だったわけですが、この「香りの変質(焼きイモ臭)」を解決できたのは、今回ご紹介した「火入れ」技術によるものでした。

▼過去の記事「香りの変質(焼きイモ臭)」解決の七転八倒はコチラ

https://note-itoen.itoen.jp/n/n4e8a75497df6

「お~いお茶」のお茶っ葉には、緑茶飲料開発以来36年の悪戦苦闘と想いが詰め込まれています。着色や着香、味付けなど一切しない、「自然のままのおいしさ」には、原料茶の栽培から、火入れ、抽出、ボトリング、ありとあらゆるところで、担当者達が七転八倒しながら、今もなお取り組んでいます。お茶っ葉のお話は、もう少し続きます。そのお話は、また今度。

▲火入れ試作室から、次は本番!実際の火入れ機で「鮮度保持火入れ」

余談ですが、火入れ試作部屋から出てきた担当者は、茶葉を焙じた甘い香りをまといながら戻ってくる。当本人は、それに気づいていないとか(笑)。

◆◆火入れ体験やってみた!◆◆

今回は、一次加工段階の「荒茶」を入手。火入れ体験やってみました!

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①荒茶をざるで振り分ける(自宅から持ってきてみました)
②簡単に大・中・小にお茶の葉の大きさを分ける
③少し温めた弱火のフライパンに分けたお茶葉を入れる
④こげないように軽くフライパンを振ってお茶葉をじわじわ温める

さっそく、お茶の葉を入れた「ざる」をふりふり。ふりふり。
「むむむ。以外と難しい・・・」
おおよそお茶葉のサイズが分かれたかな?
「弱火。弱火。」
フライパンを慎重にじっくり温める・・・するとなんだか香りが出てきたぞ!

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①一度温めたお茶葉をフライパンから移す
②香りを確認
③手でもお茶の温度、くっつき具合を確認
④再度温めなおした後にもう一度確認

一旦、盆にあげてみよう!さてさて、どうかな?クンクン。

手でお茶を掴むと、お茶葉から出た水分で手のひらについた。これがお茶が汗をかいているということか?

お茶葉の温度もまだ大丈夫。
もう少し、温めること数秒…今度はお茶葉が張り付かず「さらさら」。
よし、水分が抜けたかな。

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①次は、フライパンを熱々に温めて、先ほど確認したお茶葉を投入
②今度は手を止めずに焦げないようにフライパンを振る
③程よい加減で、フライパンから移す
④冷ます

熱々のフライパンで「ザッザッザッザッ」。
お茶葉の色、香りは一瞬一瞬で変わっていく
見極めは1秒1℃勝負。
だんだんお茶のいい香りがしてきたぞ。
「よし、ここだ」
ざっとフライパンから移して、急いで冷ませ冷ませ。余熱も油断ならない。

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①茎が膨らんでいる様子
②お茶葉の色もこんがり

次はもう少し強く焙煎してみよう!

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①先ほど同様、弱火でお茶葉を温めて水分を抜く
②火力を強めて、一気にお茶葉を焙じる
③ひたすら手を止めずにフライパンを振る
④お茶葉の色、香りを見て感じ取る。その間も焦げないようにフライパンを振る

フライパンをふりふり「ザッザッザッザッ」「サッサッサッサッ」
だんだんお茶葉の色も香りも変わってきた。お茶葉の嵩も増えてそう。

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①フライパンから焙じた茶葉を移して、冷ます
②指で茎をつぶす様子
③焙じたてのお茶葉をつまみ食い
④火入れ前のお茶葉や、さまざまな火入れ度合のお茶葉をずらり

いろんな火入れ度合のお茶が出そろった。
上手く茎が膨らむと、指でつぶすと粉れるらしい。
「ポリポリ」「香ばしくておいしい」
ついつい手が伸びてしまう。
いろんな火入れ度合のお茶葉が出そろった。

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①出そろったさまざまな火入れ度合のお茶葉に、お湯をさして香りの確認
②火入れ前、火入れ後強弱の違いが分かる緑茶の色

嗅いでみよう!クンクンクン。
爽やかな香りから、香ばしい香りまでいろいろ。
飲んでみよう!
「どれもそれぞれ美味しいけど、味も香りも全然違うものができた!」

かなり、手間がかかった・・・・・。でも、おいしい!これが秘密なのか。

ご家庭にある緑茶リーフでもフライパンで軽く焙じると、あら不思議!香ばしい焙じたてのほうじ茶が楽しめます。

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