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「鮮度がある」火入れって?!【#匠の技】 

どんなに技術革新・機械化が進んでも、ここだけは人の五感が頼り。だって、お茶は生きているから。」そう話すと、お茶の香りが充満する部屋の扉を開け戻っていく凛々しい背中。ここは、伊藤園 神戸工場。今日は、火入れの妙を極めた匠のお話。

どのような商品も、世の中に出る その舞台裏には、多くの人々の、それぞれの立場から戦わせる意見、試行錯誤、まさに「産みの苦しみ」を経て誕生します。「たかがお茶、されどお茶」緑茶飲料の可能性を信じ、困難に立ち向かった人たち。

「鮮度がある」火入れって?!

キャップを開けた瞬間、一番おいしくお飲みいただくために。「お~いお茶」には「鮮度」への6つのこだわりがある。

1.鮮度茶葉

寒さに耐えるこの時期「お~いお茶」専用茶葉は、栄養分をぎゅっと蓄えている真っ最中です。春先には「お~いお茶裏ばなし~茶畑編~」をお届け予定。さらにグレードアップした「鮮度茶葉」の裏ばなしは、またその時に!

2.鮮度保持火入れ

そして・・・。本日の本題「鮮度保持火入れ」。鮮度といったら生っぽい。火入れと言ったら文字どおり火を入れる。火を入れた鮮度??疑問に思ったので、調べてみた。

鮮度=魚介・肉・野菜などの新鮮さの度合い。

広辞苑より

ふむふむ。そうか。鮮度とは新鮮ということなんだな。食いしん坊のお茶実は、鮮度と言えば真っ先にお刺身を思い浮かる。「お刺身も、漁師さんが釣ったその場で、魚を活〆して鮮度を保持しているから、おいしくいただけるんだなぁ。その技の違いで、おいしさに雲泥の差がでるとも言うし。」

ならば、農作物であるお茶の葉も、魚の活〆のように鮮度保持の技次第でおいしさに雲泥の差がでるのでは?その答えの一つが「火入れ」という工程にあるらしい。

「お~いお茶」のうま味と香りを決める要、火入れの匠 村越がいるという、伊藤園神戸工場を訪ねた。

伊藤園神戸工場

ココにもあった!1秒1℃の戦い

以前、静岡の開発現場を取材した時は、試作室中にフライパンを振る音が響き渡っていたので、こちらの工場内でも、きっとフライパンを振る音が響き渡っているに違いない!そんな期待をして、いざ!入室。

▼お茶と炎とフライパン?! 腕を振ること数千回? 1秒1℃の戦い【#開発裏ばなし】はコチラ
https://note-itoen.itoen.jp/n/ndc1a4d653020

あれ?めちゃくちゃお茶の香りはする・・・。フライパンはどこだ?そこにあるのは大きな大きな機械。オートメーション化されているんじゃないか?!

火入れの匠は、鋭い眼光で電光掲示板に示される数字を睨みつけている・・・。ま、ま、ま、ま、まさか。温度と時間をピッピッピッって入力するだけ???失礼を承知で聞いてみた。

お茶実:「村越さん!もしかして、火入れの匠は、ボタン押すだけですか?鮮度を保持する火入れは、温度設定や時間のレシピさえあれば、素人のお茶実でも、すぐにできますか?」

村越:「笑。いえいえ。火入れの決め手は、レシピ通りにはいきません。なぜなら、お茶の葉は生きています。一つとして同じものはない。1年を通して、ブレることなくお~いお茶のうま味、香りに仕上げるためには、火入れするこの瞬間にも、1秒1℃の微調整が必須なんです。」

お茶実:「なんと!ココにも1秒1℃の戦いが?!」

村越:「短い時間で、芯水を飛ばし、茎や葉をふっくら膨らませる。すると、ぶわっと香りが立つ。この瞬間を逃すと、たちまち焦げてしまう。火入れって、その瞬間を見極めているんです。室温のわずかな変動も、実は大きく影響します。この工場は、室温管理がしっかりされていますが、それでも、搬入口などの大きな扉が開き、外気温と室温に大きな差が生まれるとき、火入れのドラム内の温度に変動が起きてしまう。その僅かなブレも逃さず火の具合を調整しなくてはなりません。」

火入れに携わって約30年。五感をふんだんに使い火入れ具合を見極める

お茶の葉を活かすも殺すも、匠の腕次第ということか。

一番緊張するのは「新茶の火入れ」

お茶実:「ちなみに、火入れで一番緊張する時っていつですか?」

村越:「筆頭は、一年で最初の新茶の火入れです!」

お茶実:「即答ですね(笑)。それは、また何故ですか?」

村越:「新茶は、一年で最初のお茶。採れたての限られた数量しか入らない旬の貴重なお茶の葉。すぐに、鮮度保持をするために火入れをします。柔らかい新芽だから、火がすぐに入ってしまうので、さらに難しい。絶対に失敗できないんです。手に汗にぎるその瞬間。本当にシビレます。

1回に火入れする量は、3トンになることも?!ほんの一瞬、火入れ具合を見誤って焦がしでもしたら・・・。想像しただけで、震えてきちゃいます。

柔らかい新芽の鮮度保持火入れは緊張の瞬間!

村越が火入れに携わって30年。もはや、火入れの妙を極めた匠だと、お茶実は思う。でも、本人曰く、「毎日、毎月、毎年、お茶の葉は、1つとして同じものはありません。また、お~いお茶は、その時代にぴったりの美味しさを追求、毎年高め続けているので、同じことの繰り返しでは作り上げることができないんです。30年経った今もなお、日々勉強です。」と。

お茶実:「ちなみに、村越さんが、この人はスゴイ!っ思う人いますか?」

村越:「静岡相良工場で、リーフ製品の火入れ担当の萩原さんですね。私は、ドリンクでキャップを開けて飲む瞬間にうま味と香りのピークが来るように仕上げるのが肝で、先の味の変化を見越して火入れしていくのが大変難しいところなんですが、萩原さんの担当するリーフ製品は、それとは全く違う観点で難しいんです。リーフ製品は、お湯で入れた瞬間のおいしいを追求しています。また、細く伸びた綺麗なお茶の葉でしょ?一言でいうと繊細。仕上がりの色・形といったいった繊細な部位にも技が求められるんですよ。」

お茶実:「な、な、なるほど!一言で火入れ師と言っても、ドリンクとリーフでは、それぞれ、極める角度が異なるんですね。・・・奥が深い。」

リーフ製品の火入れの匠、萩原。お湯で入れた瞬間の香り立ちを見極める

市場に出回る一般のお茶の葉は、リーフ製品用に仕上げてあります。しかし、「お~いお茶」ブランドにはドリンクのほかに、リーフ、ティーバック、インスタント製品があります。

それぞれ、お客様がお飲みになるシーンも異なってきます。それぞれ、飲むその瞬間のおいしい!を実現するために、全て同じ原料でよいのでしょうか?「お~いお茶」チームは考えました。そこで、辿り着いた結論~それぞれに最適な原料茶が必要~。

実は!「お~いお茶」ブランドの原料茶は、ドリンク、リーフ、ティーバッグ、インスタント それぞれ専用茶葉に仕上げているんです。やりすぎ?(笑)。いえいえ。畑から、生産、開発・企画、ありとあらゆるシーンで、本気でお客様のおいしいに向き合うが故の、お茶へのこだわり。あらゆる場面に匠がいます。その話は、また今度。

3.鮮度保管

火入れの匠が、鮮度をしっかり保つように仕上げたお茶の葉。保管や物流に至るまで、鮮度にこだわっています。
そして、次回は、鮮度にこだわる「鮮度抽出」「鮮度充填」のお話。


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